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Rabbit Hole

4歳になる息子を不慮の事故で失った夫婦の物語。
こんな映画を見て、しんみりした気持ちにならない人っているだろうか・・・。

ただ、これと、映画を評価することは別。
喪の仕事がテーマになっている映画なんて、珍しくない。
その中でいうと、今回の映画は、私的には凡庸でした。
(ちなみに、一般的にはわりと高めの評価ですよ、この作品。)

わざとらしい、そして無理やりな設定が多すぎる。
ニコール・キッドマン演じる息子を失った母親が、息子を轢いた高校生に
近づくシーン。普通、近づくか??一番会いたくない人となんで交流してるの?
夫がキレるのも当然でしょう。
スーパーでのシーン。あんな風に、見知らぬ人にいきなり激しくつめよるか?
いくらなんでも、関係ないでしょう。
その他にも、妹が妊娠したり、彼女の母親もまた息子を失った過去があるなんて、
できすぎている。無理やり、対比させようとしていて、正直うんざり・・・。

いいんですよ、別にこういう設定を作っても。
ちゃんと、意味があって、それが人物の気持ちの変化と呼応しているなら。
でも、これは、いかにも並べ立てているだけでしょう。
これ、テーマがテーマだし、最初はなんとなく同情的な気持ちで見てたけど、
だんだんtoo muchな気持ちになってしまいました。

こんなに安易な設定をたくさん用意しなくても、ニコール・キッドマンだったら、
地味だけど、もっと悲しく、そして深い演技ができたはず・・・。
それを見たかった。
残念。

帰り道、ずーーっと前に見た、映画を思い出した。
息子を殺した若者と偶然出会ってしまった父親の葛藤を描いた、
ダルデンヌ兄弟の『息子のまなざし(Le Fils)』。
地味だけど、とてもいい映画だったな。
ダルデンヌ兄弟は、見ごたえのある映画ばかり作るなあ。
いいなあ。
これと比べると、今回の差は歴然です。

(すみません。めったに褒めなくて・・・)
# by dcstory | 2011-01-13 22:30 | シネマ

アリゾナの乱射事件について

先週、アリゾナで起きた乱射事件について、連日報道が続いています。
死者の中に判事が含まれていたこと、また下院の女性議員が重体になったことで、
さらに取り扱いが大きくなっています。

先日のブログでも、1月5日に新しい議会がスタートしたと書きましたが、
重体が続いている女性議員も、あの日、他の議員と一緒にセレモニーに列席し、
新しい議会のスタートを誓ったばかりでした。
そのわずか3日後に、自身が糾弾に倒れるなんて・・・。

昨日、オバマ大統領も出席した追悼メモリアルが、アリゾナ大学で行われました。
遺族や被害者の家族も列席、大統領自身によって、亡くなった6名の方への弔辞が
読まれました。
亡くなった人の中には9歳の女の子もいたのですが、彼女は、2001年9月11日、そう
あの同時多発テロ当日に生まれたそうです。多くの人が亡くなった日に生まれた彼女が、
またこうして、乱射事件の被害で亡くなるというのは・・・ご両親の気持ちを考えると、
胸が痛みます。

昨日は、その両親らしき人の姿もテレビに映りました。
正直、私は、事件からまだ4日しか経っていないのに、こうやって公の場に出るなんて、
すごいと思ってしまいました。日本人だったら、気持ちの整理がつかないし、
親戚、友人にだって会いたくないのに、ましてや不特定多数の人の前に出るなんて、
考えられないかもしれません。いくら、オバマ大統領がもっともらしいスピーチをしても、
そんなこと聞きたくない、アメリカがどうのこうの、と言われてもそんなことはどうでもいい、
私は自分の娘を失った----その深い悲しみのことし考えられないのではないでしょうか。

でも昨日の追悼メモリアルを見て、これがアメリカの一つのあり方なのかもしれないと
思いました。何か大きな事件が起きたら、亡くなった人の業績をきちんと称え、
残された人の心をなぐさめ、力になってあげようという精神があるのかもしれない、と。
日本人だったら、まだそっとしておいてあげようと思う時期かもしれないけれど、
こうやってアクションを起こすことが、アメリカ人の気持ちなのかもしれません。

重体の女性議員は、昨日の朝、初めて目を開いたそうです。
いまだに重体が続いているそうですが、よい兆候であることは確か。
オバマ大統領自身がこのことに触れ、会場から大きな声援が送られていました。
議会にも早く活気が戻ることを祈って。
# by dcstory | 2011-01-13 09:47 | ワシントン事情

Blue Valentine

寒い寒い今日、先週末に公開になったばかりの映画を見てきました。

『ブルー・バレンタイン』
なんかカタカナで書きたくなった。意味ナシ(笑)。

一つのカップルの愛が始まるところと、それが壊れていくところを
同時進行で描いた作品。

うーん。いいねーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

思ったんだけど、人間って、愛情にあふれているときよりも、
愛情が失われていく時の方が、強く、エネルギッシュになれるね。
そこを乗り越えられたら、もっと強くなれるのかもしれない。
でも、別に乗り越えなくてもいいんです、それはそれぞれの決断だし、
乗り越えない方がいい場合もあるから。

私、こういう映画好きーーーーーーーーーーーーーーーーー
淡々と描いていて、お説教くさくない。
これぞ、大人の映画でしょ。
うそっぽくないでしょ、だましがないでしょ、これぞ、リアリティ満載でしょ。
省略する映画って、大大大嫌いだから。それだけで冷める!

主演の二人、いい演技しています。
オスカーを取ること=良い映画、良い俳優だとは、「断固として」思わないけど、
(だって、はああ??なんでこの人に?なんでこの演技に?なんでなんで???
ということが、往々にしてありうるし、個人的に超シラけることも多いので)、
だけど、
もし今年のオスカー主演男優賞が、『127 hours』のジェームズ・フランコに行くなら、
私は彼らたちにあげてほしいーー。

(ちなみに、『127 hours』は、本当にダメな映画だった。。。
なんでこんなに話題になっているわけ?
すいません、この話はまた改めて。興奮しちゃうので・笑)

『Blue Valentine』、日本公開は今年の4月のようです。
決して大ヒットはしないと思うけど、通好みの方はGo!
# by dcstory | 2011-01-12 12:42 | シネマ

アメリカは進んでる。

この前の話の続き。

「The Social Network」を見て、いい気持ちで、ジョージタウンの町を
歩いていたら、後ろから、Excuse me!と呼び止められました。
後ろを振り向くと、車椅子に乗った方がいて、なにやら私に言っています。
突然のことで、英語がよくわからず、??と思っていたのですが、
どうやら、すぐ先にある段差のところだけ、この車椅子を押してもらえないか、
ということだと理解できました。

よく見ると、たしかにほんの少し段差があり、その方の車椅子は電動ではなく、
手動だったので、そこだけ外部の力が必要のようでした。

もちろん、「Sure!」とお受けして、車椅子を押し、無事に段差をクリア。
60代くらいの初老の方だったのですが、「Thank you!」と言い残し、
あっという間に、私から遠ざかる・・・。早いはやい・・・。

最初に声をかけられてから、ほんの2,30秒の出来事でした。
こういうコミュニケーションは、アメリカでは決して珍しくありません。

アメリカにいると、車椅子を使っている方を、本当によく見かけます。
スミソニアンでは、どこのミュージアムでも、車椅子の貸し出しを無料で行っていて、
貸し出し頻度も実際、非常に高いです。一日働いていると、数回は要望があります。
もちろん、ご自身の車椅子を使って訪れる方もとても多く、
そういう時の対応をきちんとすることが、ボランティアに求められます。

たとえば、入り口がスロープになっている出入り口の把握、エレベーターの場所、
ファミリー・レストルーム(介護をする方も一緒に入れる広いお手洗い)の場所など・・・。
どれも、案内係として必ず知っておくべき事柄ばかりです。
アメリカは車社会なので、ミュージアムまでは車で来れるので問題ないけれど、
車を降りたら、車椅子が必要、人の手が必要という方も決して少なくはないのです。

ちょうど先日、スミソニアンのボランティアを対象にした、
「全ての人がアクセスできるミュージアム」という研修がありました。
こうした知識は、ボランティアになる前の研修でも、ある程度は学んでいたのですが、
今回は経験者を対象にした研修で、改めて勉強になりました。

速くて、質が高く、待たされることも少ない日本のサービスに慣れていると、
アメリカのサービスは、遅い!!仕事しない!!と不満に思うことも多いですが、
これは、一つのものの見方に過ぎないのかも、いや、絶対そうだと思うこの頃です・・・。
# by dcstory | 2011-01-11 06:28 | ワシントン事情

The Social Network

公開が始まってだいぶ経ったころ、話題の映画を見てきました。
あの「Facebook」の創始者、マーク・ザッカーバーグのサクセス・ストーリーを
描いた映画です。

よかったです。
一言、面白い。

かなりの情報量(セリフの量)で、はっきりいって、30%も理解してるかなー、
という感じでしたが、テンポがいいし、人物描写に集中しているからか、
疲れないし、飽きなかったです。

ちなみに監督は、デヴィット・フィンシャー。『セブン』の監督です。
私は『Zodiac』で、この監督の緻密さにうなりました。

日本で公開が始まったら、ぜひ、世界一若くして億万長者になった若者の、
成功、孤独、友情、裏切りの世界を堪能して下さい。

実はこれ、ラブストーリーなんだなーーー。
そうか、そうか、君も恋に悩む若者なのかって、嬉しくなった。
ま、見ればわかります。

映画を見ながら、アメリカにどっぷり浸り、
映画館を出ても、ここもアメリカ、という事実がとても嬉しく、
るんるん、ジョージタウンの町を歩いて帰りました。
# by dcstory | 2011-01-08 13:39 | シネマ