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窓ぎわのトットちゃん

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『窓ぎわのトットちゃん。』
私の大好きな本の一つです。
今、私の手元には、日本から持ってきた、古いけれど、とてもとても大切な本があります。
本が出版されたのは1981年、私の本は1982年の第58刷のうちの一冊です。
当時小学生だった私に、母が買ってきてくれたものと記憶しています。

『窓ぎわのトットちゃん』は、黒柳徹子さんの小学生時代のことをつづった本です。
最初のページには、

   これは、第二次世界大戦が終わる、ちょっと前まで、実際に東京にあった小学校と、
   そこに、ほんとうに通っていた女の子のことを書いたお話です。

とあります。この学校、トモエ学園に通っていたトットちゃんのお話は、
小さい頃からお転婆娘だった私自身と、非常に共通するものがあるので(笑)、
この本は、当時から今に至るまで、時々繰り返し読んでいます。
そして、そのたびに、いろいろなことを考えたり、泣いたり、笑ったり、
大切なことを思い出しています。

トモエ学園を創設した小林宗作先生は、本当に素晴らしい方だったと思います。
おしゃべりなトットちゃんのお話を何時間も聞いてくれたり、
前の小学校を退学になったトットちゃんに(このことは当時のトットちゃんは知りません
でしたが)、「君は本当はいい子なんだよ」と繰り替えし言ってくれたり。
でも、私が小林先生とトットちゃんの関係をいいなと思う、もう一つの理由は、
ただ単に、“校長先生と一生徒”というだけでなく、“一人の人間と人間”として
きちんと描いているところです。

『リボン』と題する章の中で、ある時、トットちゃんが親戚からもらった外国製の
素敵なリボンを学校につけてきた時のことが書かれています。
トットちゃんのリボンを見た、校長先生の末娘のミヨちゃんが、
「トットちゃんみたいなリボンが欲しい」と、お父さんにおねだりしたそうです。
お父さん(小林先生)は、町のリボン屋さんでずっと探し回ったのだけれど、
結局見つからず、翌朝、トットちゃんに、「トットちゃん、そのリボン、ミヨが、
うるさいから、学校に来るとき、つけないで来てくれると、ありがたいんだけどな。
悪いかい、こんなこと、たのんじゃ」とお願いします。
トットちゃんは、少し考え、わりと、すぐ、「いいよ」と言うのです。
少しは残念だったけど、自分の大好きな校長先生が、リボン屋さんで一生懸命、
探している姿を想像したら、可愛そうになったから、とのこと。

これって、素敵だと思いませんか?
大の大人の男の人が、7歳か8歳くらいの女の子に真剣にお願いして、
それを、「いいよ」という関係。
「本当に、トモエでは、こんな風に、年齢と関係なく、お互いの困難を、わかりあい、
助けあうことが、いつのまにか、ふつうの事になっていた」と、この章は結ばれています。
生徒に信頼される先生というのは、よくある姿かもしれませんが、
生徒をこんな風に信頼している先生というのも、いいなあと思いました。

その他にも、小児麻痺の泰明ちゃんとのエピソードや、運動会の話など、
いつ読んでも、泣いてしまうし、何かを考えさせてくれます。
やさしい日本語で書いてあるのに、本当に不思議。

将来、私も親になる日が来たら、わが子にこの本を渡せたらいいな。
かつて母がしてくれたように。。。
by dcstory | 2008-06-28 21:50 | 好きなもの
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